優秀な外国人スタッフたち

「喜泉」では、外国人スタッフたちが活躍してくれています。ネパールや中国など、海を越えて宇奈月温泉に働きに来てくれています。

彼ら、彼女たちを見て思うのは、「すごく優秀だな」ということ。真面目で素直で、何にでもいっしょうけんめい取り組んでいます。

でも、最初に外国人スタッフを迎えるときは、不安でした。「喜泉」は温泉旅館です。和の文化があふれている職場に、外国人の方が馴染めるのかな...と思っていたからです。

しかし、取り越し苦労でした。当初は「接客の仕事は無理かな」と思っていたスタッフも、いまは受付、オーダーの対応、車の運転と、お客様と接する仕事をどんどんやってくれています。

がんばる本当の理由

なぜ、スタッフ達はいっしょうけんめいがんばるのか。それは、大切な人と安心安全に暮らしたいという願望があるからだと思います。

ネパール人スタッフの一人、ケーシー君は、家族といっしょに日本で暮らしたいという夢を持っています。ネパールは、治安が良いとは言えず、道ばたを虎が普通に歩いているようなところだし、働く場所もないとのこと。だから日本で職に就き、安心して暮らしたいと思っています。

私は、その夢をぜひ叶えてほしいと思っています。そのためにどうしたらいいのか、いっしょに話し合っていくつもりです。

トラブルは本音を知るチャンス

スタッフはそれぞれ、最善を尽くしてくれていますが、トラブルが起きることもあります。一度、厨房で口論が起きたことがあります。日本人スタッフと中国人スタッフが、料理への考え方の違いからぶつかり、やめる、やめないの話になりました。

これは大変だと思い、日本人スタッフを食事に誘って口論のいきさつを聞きました。するとこんな話をしてくれました。

中国人スタッフは以前から、旅館で出す料理に中華料理を入れてほしい、と要望していたそうです。しかし「喜泉」は和食がメイン。中国人スタッフは、中華料理の腕を振るいたいのに、それがなかなかできないストレスから、ほかのスタッフとぶつかったようなのです。

日本人スタッフは、そんな中国人スタッフの気持ちをちゃんと理解していました。そして、「やめるとは言ったが本心ではない」と言ってくれました。

私はこれを聞いて、「ああ、そうだったのか」と思いました。みんなそれぞれやりたいことがあり、成長したいと思っている。でも、やりたいことをやったら職場の仲間と衝突してしまう。そのことに恐れを感じているのではないか、と思いました。

私は日本人スタッフに、みんなと十分にコミュニケーションを取れていなかったことを謝り、「まだまだ能力不足だけど、いろいろな人に相談しながら、スタッフがやりたいことをやれる空気をつくっていく」と約束しました。

みんなで幸福になり、価値を高めたい

私は今年、スタッフ一人ひとりと面談し、願望を聞く時間をとろうと考えています。日本人、外国人関係なく、誰もが成長したいという願望を持っています。私はそれを知りたいのです。

ネパールから来たアンちゃんというスタッフは、誰よりも早く出勤するし、抜群の手際の良さでみんなをフォローしてくれます。アンちゃんのことを悪く言うスタッフは一人もいません。「いてくれると安心」と思っています。

でも、人見知りなのか、アンちゃんは口数が多いほうではありません。

私は、アンちゃんの願望をぜひとも聞いてみたい。そして、願望を叶えるお手伝いをしたいと思っています。

スタッフ達が幸せになれるよう、経営者として何ができるか。それを考えている日々です。給与ももちろんアップしたい。そのために、もっともっとサービスの価値を高めたいと思ってい